07)小テスト


「おい、トメさん。今日の授業はなんじゃっけか?」
「え?なんじゃ?もちっと大きな声で言ってくれんかのう。最近補聴器の調子が悪いんじゃ」
「あ・の・な トメさん。今日のじゅ・じゅぎょうは何じゃ?」
「ああそんなことかいな。次の時間は“若者文化”の小テストじゃ。コギャル言葉の書き取りじゃったはずじゃ」
「げげげ。そうじゃったか?テストなんてぇことは、ま〜るで忘れてたわい。
だもんで、ゆ〜べは娯楽室で水戸黄門に熱狂してもうたわ」
「そりゃやばいのう。なんなら、ワシの答案見ていいぞ。ワシは今回自信満々じゃからな」
「おお、そうかそうか、そうしてくれるか。いつもすまんのお。やっぱ持つべきモノは友じゃ」
「何をいってるかあ。ゲンさんもこの前のDJの実技テストの前に、ワシに特訓してくれたじゃないか。その恩返しじゃ。
あん時、ゲンさんのコーチのおかげで、イケてるスクラッチがキマルようになったし、曲のツナギも、もう完璧じゃ」
「いやいや。あのクールでスリリングなスクラッチの手の震えは、トメさんの天然じゃて。」
「がはは。そうかいな?たまにはヨイヨイも役に立つもんじゃのお。とにかくワシのをカンニングせ〜よ」
「ほいじゃ、よろしくたのむわ。すまんのお、今回も赤点だとやばいからのお。これでやれやれじゃ」

「ほな、いこか。よっこいしょっと!」
「おお。どれどれ、せ〜のっと!」

教室に向かってゆっくりと歩き出す二人・・・

「ところでトメさん」
「ん?なんじゃ?」
「すまんが、字、ちょびっと大きめに読みやすく書いてくれんかのお?」




・ 次頁へ
・ 前頁へ
・ 表紙へ

・ TAKUプロフィール
・ 無理矢理なメニュー!
・ ケータイTOP