第19回『酔って候 編』
横浜銀蝿『ぶっちぎりINTERNET』DiGi/USER 12月号原稿
《タイトル》
酔って候 編
《本文》
いきなりで何なんだが、
昔から男の娯楽といえば、呑む・打つ・買うと相場が決まっている。
これは有史以来、ずう〜っと変わっていないんだろうし、
きっとこれからも永遠に変わらないだろうと思う。
ところが、ところがであるみなさん。
何を隠そうこの私は、
この男の三大娯楽と呼ばれるものをどれもたしなまないのである。
たしまなないといっても、別に俺は、
特にストイックな日々を送ろうとしているわけでもなく、
またどれも経験がないわけでもない。
単純に肌にあわないのだ。どうもどれも好きになれないのである。
でももしかして俺の場合、
普段やっている仕事や、
いや、そもそも生き方自体が、かなり博打じみているわけだし、
別にわざわざ買わなくても女やセックスには不自由もせず、
相変わらず色事にも、うつつをぬかしまくっているので、
かれこれ何十年の間、呑む・打つ・買うはしなくとも、
充分に普通よりも
スリリング&酒池肉林な日々を送ってきているのかもしれないですが・・・。
ドラマティックで刺激的な毎日と女性の肌のぬくもり・・・
これがなきゃ男なんてやってらんないものね、なはは。
ところが呑むという行為だけは、俺の中ではまったく別の次元でNGなのだ。
体質的にダメというか、身体が上手にアルコールを受け付けてくれないのだ。
残念ながらアルコールに関していえば、
苦痛でこそあれ、楽しむ、たしなむというお話には絶対にならないのである。
そりゃもちろん粋がっていた歳頃には、気合入れて呑んでもいたのだが、
大人になって粋がって背伸びする必要もなくなってからは、
まったくといっていい程酒を口にしていない。
それにガキの根性焼きじゃあるまいし、
この歳でやせ我慢して根性見せて、無理に呑むのもアホな話でしょ?
そのかわりと言っちゃなんだがタバコはめちゃめちゃ吸う。
普段でも2箱くらいは吸うし、レコーディング中は3〜4箱とかざらである。
う・・・タバコの数の話とか書くと、なんかまるで健康に気を使っていない、
不健康な、時代に逆行した野蛮人みたいな感じに思われるかもしれないが、
と〜ころがどっこい、実はこの俺は自己管理の鬼なんよん。
毎日の就寝・起床時刻そして睡眠時間、食ったもの・飲んだもの、
トイレの回数、喫煙本数、
これらはすべて記録し把握している。
つまり、何年の何月何日に何時に起きて何食ってどのくらい喫煙したかとか、
毎日どのくらい水分を摂取しているとかは、自分で全部わかるようになっている。
別に俺は几帳面な性格でもないし、特に記録好きってわけでもないのだが、
自分は自分で口にした物で出来ていると意識した時から、
身体作りや健康の為に、
せめて自分の身体に出入りした物と自分のコンディションくらいは、
ちゃんと自己管理していたいなと思っているだけである。
まぁこんなのは、プロのスポーツ選手なら当たり前の話だろうから、
プロのロックンローラーとしても、当然の自己管理ってことになりますね・・・(笑)。
とにかく話を戻すけれども、俺は酒は呑まない。
いや、呑めないのだ。
この世からタバコと缶コーヒーと、追っかけるべき女のおしりと、
スリルとサスペンスがなくなっちゃったら非っ常に困るが、
酒がなくなっちゃってもじぇんじぇんへ〜きなのである。
でも、ここで本音を言ってしまえば、
実は酒呑みに憧れているのもまたちょっと事実なのである。
おしゃれな小道具として人生を演出してくれるっていうのもあるだろうし、
純粋に嗜好品として楽しませてくれるってのもあるだろう。
それに何より酒ってのは、酒そのもの自体、
と〜っても奥が深いような気がするのだ。
呑めないからよけいなのかもしれないけど、
まさに大人の嗜好品ってイメージなんだよな、俺の中では。
そりゃ、バカでもガキでも酒呑んで酔っぱらうことはできるんだけれど、
酒をわかったり、そしてそれを楽しんだりするには、
きっとそれなりのセンスが要求されるんじゃないかと思うのだ。
普段まったく酒を呑まない俺でさえ、
ブランデー・バーボン・スコッチ・ワイン・ビール・カクテル・その他スピリッツ系の酒とか、
世界中の主だった色々な種類の酒を思い浮かべることができるわけで、
きっとそれぞれ奥の深い楽しみ方、呑み方があるんだろうなとか思う。
それぞれの作り手にしたって、様々な思いを込めて仕込んでるんだよねきっと。
でもまぁ俺的に言わしてもらっちえば、
どうせ凝るなら絶対的に日本酒を攻めるべきだ。
なんでかっていうとね、
これは酒だけに限らず、食事でも音楽でも車でも何でもそうなんだけど、
その文化の育ってきた風土ってとっても重要じゃんか。
つまり、その土地で味わわないとホントの美味さはわかんないって思うのね。
例えばタコス。
俺タコスって大好きなんだけど、
あれって正直いって日本で食うといまいちピンと来なくない?
なのにどして好きだかっていうとさ、
初めて食ったのがメキシコだったんだよ。
でそん時にメチャメチャ美味かったわけ。
地元の浮浪者(そいつがまた、くせ〜のなんのって・・・)と一緒に、
夜店みたいな小さいスタンドに並んで食ったんだけど、
とにかく俺の中でのタコスは、東京で食っても、
そん時の場面と雰囲気の記憶が一緒になってるから美味いのよ。
だから、その酒を楽しむ為に世界中を飛びまわれる立場の人間ならともかく、
普通に日本で暮らしているんならやっぱ、基本は日本酒でしょう?
ということで、もし俺が酒を呑めるようになったとして極めるべき酒は、
絶対日本酒しかないと思っているわけだ。
日本各地で銘酒と呼ばれている地酒を、
地元の和服美人と差し向かいでおちょこでちびちび、
さもなきゃその土地の野郎どもと語り合いながらコップでぐいぐいと味わう。
い〜ね〜。呑めないくせしてなんかワクワクしてきた。
これは完全なる下戸の憧れですね、
無い物ねだり以外のなにものでもない(笑)。
ってことで酒呑みのみなさん。
いつもの酎ハイや、ビールや水割りも悪くはないとは思うんですが、
今夜は是非、俺の代わりに日本各地の銘酒を楽しんでみて下さいな。
それと、念の為に言っておきますが、
各地の銘酒はここで紹介するサイトで検索できますが、
残念ながら、地元の和服美人までは検索できましぇん!
その部分は各自おのおので調達して下さい、だはは。
-了-
《今月のお薦めサイト》
○ 日本酒の基礎知識
まずは日本酒の基礎知識ですね。
○ 日本酒ガイド
皆さんがきき酒師になって作るページだそうです。
全国の酒が検索できます。
○ お酒村
酒呑みが集まるコミュニティサイト。
○ 日本の酒
本酒造組合中央会のサイトです。
○ 酒インターネット倶楽部
○ 日本酒に乾杯
まじこさんの個人サイト。
検索はもちろん、日本酒についていろいろ読めます。
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