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DIARY

1999/12/14(火)

根性
“根性”と聞いて何を思うか?

俺の場合、
プールの潜水とか授業中の息止め競争・サウナとか熱い風呂でのやせがまんを思い出す。

ガキの頃、クラスで息止めの記録争いが流行った事がある。
授業中に仲間の何人かで壁の時計見ながら息止めて、最後まで我慢できたヤツが勝ち。
小学生だから1分やるのが精一杯。
それでも真っ赤な顔しながら息止めてた。
末永っちゅうヤツが強敵で手ごわかったけど、やっぱ負ける訳にはいかないっしょ。
根性だった。

小学校のプールの授業で潜水。
俺、泳ぎ得意だったから25mなんて楽勝で潜水出来た・・・ように見せてた。
正直言って残り10mになるとすんげ〜苦しかった。
水の中で泳ぎながら「あと10m潜っていられたら河内と結婚できるぞ!」と
自分に言いながら潜水してた。
ちなみに河内さんってのは4年の時好きだった子。
で、無事にゴールして水から上がり、みんなには涼しい顔して「楽勝、楽勝!」
根性だった。

熱い風呂やサウナでじ〜〜〜〜っと我慢する。
実は快感だったりする。
これは大人になった今でもそうだ。
以前に、かなり無理して我慢してて、ようやく浴槽から出た途端に
クラクラっときて浴槽の中に頭から倒れた事あった。
でもやめらんない。
サウナでも同様・・・限界まで我慢したくなってしまう。
何だろなこれ?
やっぱ根性。


そんな下らない事ばかりに根性の無駄使いをしてる俺は
その他の事で根性を意識した事がないのんきなヤツだ。


しかぁ〜し!
そんな俺にも根性発揮を意識する場面がある。

めちゃ混みの話題映画のロードショウだ。

そうそう俺は映画の指定席なんて絶対に買わない。
根性でいい席を取る!

ここは渋谷のシネタワー。
入れ替えの時間がせまる。
次回の待ちの人々が横の廊下にあふれかえっている。
この混沌としたカオスの中、なにげにより有利なポジションを求めてドアに近付いていく。
割り込みではない・・・あくまでも移動だ。
自分の気を殺して景色と一体化する・・・忍者の心得だ。
気が付くとそこはドアの前、やった・・・ポールポジション。

中からエンドロールのBGMが聞こえてくる。
そして前回の映写が終了。場内の清掃が始まる。

頭の中で一番いい席、真ん中通路の真ん中の席をイメージする。
何事もイメージトレーニングが肝心である。
こうドアが開き、こう行き、こう勝つ!
ひしめきあっているライバル達の顔を横目で観察しながら、
まわりのヤツのブロック方法を考える・・・
こいつは足で、こいつは背中で、こいつは腕で・・・

いよいよのダッシュにそなえて精神を集中する。
こんな場面ではおもてだったウォーミングアップは出来ない。
しかし大丈夫・・・もうアキレス腱はストレッチしてある。
準備万端、いつでもこい・・・

係員によってドアが開かれる・・・よしいけ!
クールでホットな戦いの幕がきっておとされる。

この一瞬の間に目指す席までの最短の行き方を考えると同時に、
他のドアからの進入者の根性具合を見定める。

自分の後ろをブロックしながらもそこは立派な大人である俺は、
こんな時ほど優雅にそしてスマートに振る舞わなければならない。
けっして見苦しく急いだり、走ったりはしないように大急ぎだ。
でもきっと、目がイッてるかもしれない・・・

だんだんと目指す席も目前だ。
やはり、選んだドアと欲しい席との位置関係の読みは正解だったようだ。
しかし最後まで油断してはならない。
ラストスパートは必殺大股歩き。

ここまでくると、視界には俺の座席しか見えていない。
全ての音も消え、たくさんあるはずの座席の中に俺の座席だけが光って浮かび上がっている。
そこあるのは俺と、俺の席だけの世界だ。

決勝は左足が決めてだ。
スクリーンに向かって左側から突入する俺は、
左足からの最後の踏み込みでライバル達を身体でスクリーン。シャットアウトだ!

もらったぁ〜〜〜!

無事到着。
しかしスキは禁物なので、やや大股で席の前に立つ。
しかし、ここであわてて席に腰おろすのは俺の流儀に反する。
椅子取りゲームじゃないんだから・・・
もう勝負はついているのだ!

ここで間違っても息を乱したりなんかしてはいけない。
勝ち誇った顔もダメだ・・・子供じゃないんだから。

前もって手に持っているジャケットをなにげに席にのせる・・・そう、あくまでも優雅に。
最初から決まっていた自分の席、だから当然そこに自分のジャケットをのせる。
で、まったくの自然なカンジで席を後にロビーに向う。
何事もないのだ・・・ここは始めから俺の席なのだから。
そう、今日も俺は特等席。

戦いは終わった・・・冷たいコーラとポップコーンが欲しい。





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